仕事には大別して三種類ある。
一つ目は肉体労働だ。
額に汗して「えんやこ〜ら」誰でもひたむきに努力する人を応援したくなる。日本人は「頑張ろう」「頑張ってね」という言葉が大好きだ。みんなで応援しているから頑張ってね。忍耐にこそ美学であるという武士道、ひたむきに努力を重ね・・・感情を抑える、喜怒哀楽を見せない、ネガティブ世界だ。
我慢は祭りで発散。みんなで「セイヤ、セイヤ・・・」お祭りは非現実のポジティブ世界へ導く、そして大笑いしてすっきり気分。自然の四季にも恵まれている。大雪で生活が脅かされても、寒い寒い冬が来ても我慢すれば必ず春がやってくる。みんなでお花見を楽しむ。
ちなみに「頑張る」という単語は他国には無いそうだ。英語でも訳せないらしい。近い言葉では、「リラックス、エンジョイ...」大分意味が違ってくる。
二つ目は、知的労働だ。
士農工商縦割りの組織は未だに健在。「組織の良さは、命令・実行・報告のスピードに比例する」このマネージメント方式は、安心安全が前面に出る企業やマニュアル型の組織には適している、減点方式で評価される場合が多い。学生時代から偏差値で評価され続けている日本人には、わかりやすく受け入れやすい。
しかし、慣れてくると自己主張の無い依存型のイエスマン組織が誕生する。日本人は個人より集団行動や世間を大切にしてきたからだ。「心は形を求め 形はこころをすすめる」正しい形にこそ正しい心が芽生えると躾ける。日本の挨拶やお作法は、今でも家元制度がある。心がこもらない労働と言う言葉も嫌う人が多い。仕事で心を磨くのだ。心を形で評価する躾社会だ。いつまでたっても笑顔をマニュアルで評価したがる。100点の笑顔ってありですか?
欠点は個性であり、個性を磨いてこそ、笑顔の本質である。
三つ目は感情労働だ。
小さいときから笑顔が大事と教わりながら、「自分の笑顔に自信がある人」と質問しても、ほとんど手が上がらないのは日本人だけである。「人間は感情の動物だ」と言いながら自己表現が苦手である。目は心の窓と言いながら、目を逸らしアイコンタクトも苦手である。伏し目がちでマスクで顔を隠す。
他人を気にしすぎる村意識がいまなお顕在する。日本人は、個性を受け入れるのが苦手である。感情や好みの世界は一人ひとり違うのだ。みんな一緒が大好き。
新入社員や販売員研修で笑顔が大切だと繰り返し指導されても、現場の先輩ほど笑顔で挨拶ができない現状。士農工商の士、いまの官僚や政治家、先生と呼ばれる人や企業の管理職ほど笑顔が少ない。本当に仏教国なのか?和顔施はどこに。
日本の笑顔は笑い顔。
サルの世界では笑うとは、強いものに対して服従するときのしぐさ、服従の笑いである。
日本の笑いはサルの笑いに近い。
他国のサービス業は、チップの収入が給料の半分を構成する。
人の上に立つ人ほど、現場を部下や現場を笑顔にするのはあたり前。
ジョークの一つも言えない管理職は存在しないのだ。
縦割り組織の象徴的な言葉が「お客様は神様だ!」と教わる。
日本では出世すれば神に近づけるのか?
偉い人とはどんな人なのか。
企業理念に好まれる「愛され親しまれ信頼される」とはどういうことなのか、
今一度考えてみる必要がある。
日本人の素晴らしい感性だからこそ、笑顔の技術がないと伝わらない。
心の世界に逃げるな!
スマイルを超えたEGAOにこだわりたい。
苦手な笑顔を最大の長所として生まれ変わらせたEGAOの成功事例がある。
日本人らしい感情を見事に演出して絶賛されたプレゼンテーション、
東京オリンピック2020年の誘致成功の感動ドラマが物語っている。
残念なことに日本人が考えたことではない。
イギリス人コンサルタント ニック・バレーが、すべての台詞や声の大きさや感情表現、
振り付けから演技指導まで緻密に指導した。(安倍総理と皇族だけは含まれない)
結果、東京オリンピックを誘致することに成功した。
そのスマイルの手法に学ぼう。「お・も・て・な・し」という言葉もその年の流行語大賞になった。
滝川クリステルさんの「お・も・て・な・し」ばかりが注目された。
しかし、学ぶべきは従来の日本型の発想を離れ、国際型のコミュニケーションを行った点である。
東京開催の意義を熱く語るプレゼンテーターの皆さんの初々しくリラックスしたEGAO、
はっきりした表情、大きなアクションとハイテンション。
普段はそんな素振りもない猪瀬さんまでテンションをあげEGAOが印象的でした。
最も貢献したのは、はじめに登場したパラリンピック陸上選手、
佐藤真海さんの輝くようなEGAOが評議員の心を鷲掴みにしたと思う。
挨拶や礼儀は日本でしか通用しない点が多いが、スマイルは世界共通のコミュニケーション技術だ。
シャイな日本人だからこそ、スマイルを超えたEGAOにこだわりたい。
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