笑顔の楽校59
ケース38 CDレンタルショップ
商品力も整理整頓もお見事な大手CDレンタルチェーンだったが・・。
肝心の販売スタッフが疲労困憊。一時代を作った店も元気なく撤退が加速している。
リアルならではの良さを発揮する方法は?
脱・時間つぶしのお店。鍵は「人間力」です
バックヤードも含めたら100坪近くありそうな大店舗。コーポレートカラーできちんとコーディネートされた店内はものすごい商品数にもかかわらず、什器別にコード別分類、しっかり管理されています。通路幅も充分、これなら車椅子も楽々でしょう。商品数のわりには、ダンボールの放置もなく、お見事です。これだけ徹底するには相当の管理力が必要、販売スタッフも大変なはずです。
そのスタッフですが、レジ、補充、奥にそれぞれ1人ずつ。レジでは、そう若くない男性がエプロンをかけてつまらなさそうにお客様応対をしています。「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」の声もほとんど聞こえてきません。おそらく疲れきっているのでしょう。
販売スタッフは音楽が好きで仕事しているはずなのに、そしてお客様にとっては楽しくなるための商品を購入しているはずなのに、お互いに楽しいムードが全くありません。売れない時代だから人を減らし、さらに売れなくなるーー悪循環ですね。
また、リサーチ時は、某人気男性アーティストの主演映画が世界的賞を受賞した直後で話題だったのですが、そういう旬の情報や品揃えが店内に全然なかったことが不思議でした。ということは、「いつ来ても同じ」お店ということ。これでは「時間つぶし」のお客様しか来店しなくなりますよ。もったいないです。
この現状が、量的拡大と効率化を追求した結果だとすれば、かなり危険です。
ネットを超えるリアル店舗の魅力は「人」
音楽もネットで買える時代。効率面で言えばリアル店舗はネットに勝てません。では、どうしたらリアルの良さを発揮できるでしょうか?
鍵は、「人間力」です。販売スタッフが接客の基本を押さえつつ、自分らしさを出して、フェイスtoフェイスで音楽の楽しさを伝えていく=エンターテイメントの発信者になってほしいと思います。僕の提案は次の3点です。
❶レジでの応対力アップ
どんな理由があっても、レジでのお粗末な対応は禁物。基本の躾の徹底が急務です。原則は、アイコンタクトと笑顔、きちんと声を出すこと。そういう接客をすることで、感じがよくなるだけでなく、スタッフ自身もテンションが上がり、楽しく仕事ができるようになります。
❷ラウンドスタッフを配置
店内をラウンドして声かけをしていきましょう。人手がなければ、補充作業と並行します。セルフセレクションのお店ですから、視聴コーナーでは「自由に楽しんでくださいね」、提案商品コーナーでは「今、一番のおすすめです」等、お客様に気さくに気軽に商品を手に取って、自由に選んでもらうための後押しが必要です。ここでももちろん、アイコンタクトと笑顔が重要。
❸スタッフの「主張」「提案」を出す
たとえば、スタッフごとの一押しコーナーをつくる、POPにスタッフコメントを入れる、ネームプレートに「私は◯◯ジャンルに詳しいです」と書いてもいいですね。
【コミュニケーションUPのポイント】
1 スタッフ同士、なごやかに
声をかけ合う、笑顔、あいさつ……スタッフ同士が和気あいあいとしたムードだと、自然と店内もいい雰囲気に。
2 オリジナリティあふれる情報発信
ランキング情報や提案商品のPOP等は、ちょっと手間ひまかけて、その店のオリジナリティをプラス。お客様との会話のきっかけにもなります。
3 映像を活用
できればなるべく大画面のものがおすすめ。ビジュアル的に音楽を聴かせるようにすると、専門店ならではの迫力に。