笑顔の法則㉔
自分の笑顔は自分では見えない
いい笑顔を作ることは、社会人としてのエチケットです。
30年前、笑顔の専門会社を作ったとき、イギリス、アメリカ、フランスなどの海外メディアの取材がありました。笑顔がビジネスになってしまう日本人の不思議さを半分は皮肉っている感じでした。なぜならば、どこの国でも笑顔を子供に教えるのは、常識的な親の務めであります。子供の笑顔は親の自慢です。子供が自立する始まりに、笑顔を親がしっかりと躾ます。「いい笑顔だね!」と繰り返し褒めます。無意識にできるまで繰り返します。理由は、自分の笑顔は、自分では見えないからです。こんな大切なことを今でも日本人の多くは、笑顔作りを美容やおしゃれとして捉えています。親が子供に笑顔を躾けません。歯並び矯正とも連動します。
日本人がマスクが取れないのは、笑顔の感覚と意識の違いがあるようです。
笑顔研修の感想文に「自分では笑顔全開100%のつもりが30%くらいにしか見えず、意外だった」「女性だから品よく控えめに、と思った笑顔が薄ら笑いになっていて唖然とした」笑顔研修の実践編では、受講生に自分の笑顔を客観的に見てもらうために、ビデオやデジカメで一人一人の笑顔を撮影してみてもらっています。みんな、自分で思い描いた笑顔と現実のギャップに打ちのめされるようです。このギャップはどこから来るのでしょうか?
それは、形としてきちんと笑顔になっていないため、相手に自分がストレートに伝わらないからです。笑顔は相手に伝わらなければ意味がありません。自己満足ではダメなんです。心のこもった笑顔はもちろん大事です。でも、その前に「笑顔がきちんと伝わる形」をマスターしないと心も伝わりません。ですから私はいつも「形から意識して笑顔を作っていきましょう」と指導しています。
笑顔の形をマスターするのは技術です。
技術ということは、コツを覚え込めればいいのです。そのために開発したのが、笑顔のポイントである口元と目元をエクササイズする「わりばしストレッチ」です。顔面筋の中で大きな筋肉の一つ大頬骨筋を集中的に割り箸を使って鍛えます。このエクササイズの動きが面白いので世界中に情報が広がりました。笑顔アメニティ研究所の商標登録商品です。
ちなみに「わりばしストレッチ」を思いついたヒントは、学生時代に見たオードリーへップバーンの映画のワンシーンです。仮面パーティに出かける前に、ポストカードを口に加えて、口角をきゅっと上げるシーンがありました。「口元を上げるとこんなに表情が変わるんだ。笑顔は練習するもんだと驚きました」割り箸を使うようになったのは、白金の都ホテルの笑顔研修中に、会場にあった大量の割り箸を使った体操が大受けしたからです。成功体験を実感しました。いま、わりばしストレッチを盗作している先生方が多いですが、割り箸は食事に使うものですね。そのアイデアに価値があります。割り箸を1分間、歯で加え続けてみてください。たったそれだけで顔が引きつってしまう方が多いと思います。
「わりばしストレッチ」で大きく笑顔の輪を広げるきっかけになりました。形から入る方が、心から入るよりも早く笑顔になれるんです。いい笑顔を作ることは、人格形成の始まりです。いまだにマスクをとれない子供たちが多いです。子供は親の鏡だからです。親や先生から言われたことを素直に行動してきました。大人はマスクをつけるか取るかは個人の自由だというのは賛成です。しかし、子供たちにマスクを取って笑顔を作ることはエチケットであることを指導すべきです。学校は人格形成の場ではないのですか?
「才能は孤独の内に成り、人格は世の荒波にてなる」ゲーテの名言