売れないのではなく、売ってない!
店を笑顔巡回しても誰も店頭に目が向いていません。作業に集中してお客さまに気づかない販売スタッフの多いこと。コロナ禍でスタッフ数も減り、教育の機会も少なくなりました。僕の育った小売業、特に専門店は最大の危機を迎えています。
お客さまは購買を決定する際、SNSで情報を集めて、商品を見たり、自分の手に取って決めますが、通販やネット販売の台頭により人間らしい商売の原点を忘れてしまったようです。
今日は、リアルな店頭販売の話をしましょう。
買うか買わないかを決める前に、もう一歩前のその店や商品に関心を持ってもらうことが大事です。それは、入店する前のもっとふわふわした雰囲気によって決まります。
雰囲気はハードな器以上に色、音、香り、一番は販売スタッフの感情や動きが醸し出しています。想像以上に遠くから、その店らしさをお客さまに伝えています。
一番言いたいことは、入店されて初めて売り上げに繋がるということです。店長や販売スタッフは、店をもっと外からお客さまの目で見るべきです。特に、販売スタッフの明るい表情やしぐさ、声が笑顔のコミュニケーションとなり、お客さまを引きつけます。
人の点の動きが作業や接客を通して線になり、訓練されたフォーメーションで面になり、コミュニケーションの輪が広がり魅力ある空間を作り出します。点から線に、線から面へ、面からワクワクした空気を動かします。
コミュニケーションの密度を高めることが、サービスの主張につながります。コロナ禍の非接触の習慣は、人間らしさを否定することです。早く本来のもてなしスタイルに戻るべきです。お客さまと親しくなればなるほど、売り上げは後からついてきます。
店頭の売り上げが激減し、ネットや通販の売り上げが増加しました。これからは、ネットとリアルの両輪でコミュニケーションを取る時代です。専門店が活性化するチャンスは笑顔にあり。「お客さまの心が開けば、財布もひらく」。
親しくなる環境は人と人との情感の伝わりやすい距離がいい。お客さまから「ありがとう」と言われる喜びが、さらなる出会いと成長をもたらします。
20年近く指導していた会社にJR東日本グループの館「ルミネ」があります。ルミネ理念を笑顔で具現化し、多くの結果を出しました。成功事例は経済誌やFA本でも紹介され、ルミネスタイルは、あっという間に全国に広がりました。
僕が最初に指導したのは、安心安全の「環境ベーシック」とお客さまの歩くスピードをゆっくりさせる施策「ウエルカムの体制づくり」です。「早く気づいて、ゆっくりアプローチ」です。
いま、売り場巡回を再開しましたが、悲しくなるほど店頭に販売スタッフの笑顔がない。コロナ禍でマスクをつけてきた後遺症は大きいです。「楽しくないと店じゃない」笑顔の力を忘れてしまいました。
店頭を歩いているお客さまに気づかないで、専門店の営業は成り立ちませんよ。
「売れないんではなく、売っていない」と言いたい。