笑顔の楽校60
ケース39 和食レストラン
新型コロナウイルスの影響で入店客数の減少が続きます。さらに安心安全、マスクで顔を隠すのも当たり前になりかけています。
マスクをして笑顔はとても伝わりにくいです。
大きな声をだし、今まで以上にテンションを上げ、ワンアクションワンドラマを演出しましょう。まずは、基本の徹底から・・・
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さあ、笑顔巡回指導をはじめます。まず、お客様の視点で全体を見渡そう。
ウインドウディスプレイ、こだわりの看板、内装デザイン……どれも和の上品な雰囲気を醸し出しているのに、全体がとてもちぐはぐです。
「フレンドリー」のリサーチは必ずランチタイムを挟んで行なっています。SCのレストラン街はバラエティ豊かで、迷いながら見て歩くのも毎回の楽しみです。今回、足が止まったのは和食のお店。ウインドウディスプレイの器の迫力、盛りつけの演出等、見せ方がお見事。すぐに家族連れの後に並びました。が、お店の人の声かけはなし。混んでいるからしかたないと思いつつ、ようやく店頭のイスに座れて店内を眺めた瞬間、「ハズれたかも…」と悪い予感がしました。
レジカウンターの上はものがごちゃごちゃ。カウンター横には、のぼりや立て看板、ダンボールなどが置かれていて物置状態。壁面にはPOPがペタペタと直に貼られ、しかも縦書き、横書きが混在、なんとも雑多なイメージです。
一方で、内装デザインは和のいい雰囲気なんです。お店に入ってすぐ正面に掲げられた看板もこだわりを感じさせる無垢の重厚なものですよ。……この「ちぐはぐさ」はどこからくるのでしょうか?
飲食はまず環境ベーシックを
整えることからスタート
客席は40〜50席くらい、なかなか余裕のあるレイアウトで、近くのテーブルでは幼児連れのママ2人がゆったりと食事を楽しんでいます。
ホールのスタッフは明るく元気のいい主婦という感じの2人。キビキビとオーダーを取り、料理を運び、ラウンドしながら爽やかにお茶を注ぎ足してくれます。
このスタッフの頑張りがあるのでなんとか回っているのだと思いますが、全体的に見ると、飲食の基本=環境ベーシック面にかなりの改善点があります。
❶汚れが目立つ
パッと見ただけで、照明やテーブルの脚、イスの座面や背もたれ部分、調味料トレイが薄汚れているのがわかります。それから、幼児連れが多い影響でしょうか、通路面の窓ガラスに手の跡も目立ちます。
テーブルにも拭き跡が残っていて、なんだか所帯染みた感じが漂っています。
❷バックヤードが丸見え
内装デザインは本当にいいんです。でも、せっかくの和の世界感を壊しているのが残念。たとえば、厨房コーナーとの境には長いのれんがかかっているのですが、行き来しやすいように(邪魔にならないように)左右で留めてしまっているため、その大きな隙間から厨房が丸見えになっています。ピカピカだったら見えてもいいんです。でも、ものすごく雑然としています。人が出入りするところはどうしても目線がいきます。僕の席から丸見えだったため、正直、食欲が失せました。
❸コスチュームが作業服
厨房から中年男性がフロアに出てきました。油の飛び跳ねがたくさんついた汚れたコスチューム。カッコいい和の料理人とはほど遠い姿でした。
お店は清潔、整理整頓等の環境ベーシックが整っていないと確実によどみます。特に飲食だったらこれだけでアウト。そして環境ベーシックがダメなお店は接客面もよくありません。「気づかない」ことはすべてに悪影響を及ぼすからです。
このお店の問題は、全体を見渡す「中心者」が明らかに不在だということ。素敵な内装デザイン、味だって決して悪くないんですよ。スタッフも頑張っているのに、本当にもったいないお店です。
【コミュニケーションUPのポイント】
1 お客様視点でお店を見てみる
「見られている」ことを意識しながらチェック。「気づく」訓練の第一歩です。
2 クリーン作戦を徹底的に
週に1度は徹底した「クリーンディ」をもうけて、店内ピカピカに。
3 よけいなものは見せない
作業効率よりも「見た目優先」、おいしさを阻害するものは絶対に露出厳禁です
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新型コロナウイルスとの戦いは、長期戦になりそうです。
この機会に、しっかりと接客の基本を見直すのも大切なことです。
マスクに引きこもってはいけませんよ。