笑顔の楽校 58
ケース37 カジュアルファッションショップ
笑顔と元気をふりまくスターになろう
黒で統一されたスタイリッシュな店内はまるで劇場のよう。
そのステージで、販売スタッフがスターのように輝くための方法を伝授します。
国内外に約350店舗を展開するレディス&メンズファッションブランド。広い店内は床、天井、壁、什器も黒一色。5mほどの天井に届きそうな大きな鏡や存在感のある観葉植物、ビートの利いたBGM等々が醸し出す雰囲気はクールでスタイリッシュ、まるで劇場のよう。
そのなかで、商品を上手に着こなした女性3名の販売スタッフは10cmほどのヒールで、お客様より頭一つ目立っています。でも、とてもおとなしい印象……楽しさが全然伝わってきません。理由は、お客様へのアプローチがほとんどないからです。店頭で通路にお尻を向けていたり、商品チェックに夢中で、近くのお客様に挨拶もしなかったり、とまるでお客様に関心がないのでは?と思ってしまうほど。そして、作業している顔が怖い。
かつてこのブランドが有名な某ファッションビルのヤングカジュアルをリードしていた頃、スタッフは、お店という劇場の中でイキイキと輝いて、フレンドリーな接客力がありました。このリサーチ店はSCという環境のもと、幅広い客層に合わせようとして、おとなしくなっているのか、「これください」「ありがとうございます」とセルフ化しています。お店の生命線は、販売スタッフの笑顔と工夫ーーつまり「接客力」なのに……。
「接客力」でコーディネートやブランドの世界感を伝える
このお店は、整理整頓も行き届き、商品力もある、ブランドならではの世界観をきちんと考えられたお店です。その世界感を伝えるには、スタッフが生き生きと輝いていることが大前提です。「接客力」が必須ですし、商品単価が高くはないので、接客力でセット率アップを図らなければなりません。では、具体的にはどうしたらいいでしょうか?
❶「お声かけ率」を数字で検証
まずおすすめしたいのは、「販売効率調査」です。1日の入店者数、客単価、セット率etc.…こまかに数字を出し、現状を把握するためです。特に大事なのは「お声かけ率」。お声かけは単に「いらっしゃいませ」と言うのではなく、きちんとアイコンタクトしながら、笑顔で挨拶すること。その結果、小さなことでも反応したお客様が何人いらしたかも数えます。
各スタッフが何人にお声かけしたか? お客様の反応はどうだったか? 1週間ほど調査すると接客力が「数字」で把握、検証でき、いかに売り逃していたかがわかります。そして、スタッフのお客様への意識が高まります。
❷ウェルカムステージ
入口付近3〜5mは「ウェルカムステージ」と考え、お客様にフレンドリーにお声かけしてください。笑顔で元気を振りまけば、お店そのものも笑顔に見えて、お客様はぐんと入りやすくなります。ウェルカムステージは、きれいなスタッフ達が楽しく仕事するステージ。その個性が最大限に発揮できるはずです。
❸トータルコーディネートの提案
笑顔でのお声かけを心がけると、お客様との会話が弾み、目的外の商品まで見てもらえるようになります。つまり、声かけ率が高くなると、セット率も連動して高くなるのです。セット率は最低でも2.0以上を目指しましょう。
【コミュニケーションUPのポイント】
1 スタッフ同士でロープレ
「この服が大好き!」という思いをお客様に上手に伝えるにはロープレが効果的です。閑散時は積極的にロープレを!
2 ノリをよくする
テンションはお客様より一段階高めが理想。朝礼でスタッフ同士、ハイタッチをするだけでもノリがよくなります。
3 「楽しい雰囲気」を見せる
店頭近くで鏡を前にお客様と楽しく会話しながらコーディネートしましょう。楽しそうな雰囲気が入店率を上げます。